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2010年2月18日 (木)

2010年二月大歌舞伎・昼の部



寒が明けてずいぶん経つのに、寒中より寒いくらいの二月。
小雪の中を13日の王子の初午に続き、15日には2月大歌舞伎昼の部へ行って
きました。パスモの残高があっというまに減ってしまう今日この頃。coldsweats02

Kabu0215a

今まで分不相応にも大抵1等席で観ていたのですが、
さすがに予算も底を尽き(笑)、今回は3階席を狙いました。
幸いおけぴで3階最前列の正面近くという良席をゲット。
これが思いのほか観やすくて、特に「俊寛」の海の素晴らしい舞台装置を楽しむには最良だったかもしれません。
それだけにこの列は争奪戦が激しいらしく、めったに手に入らないようです
が・・。
後ろの列も座席の段差が1階より大きいので、少なくとも2階後方の1、2等
席より断然いい。
アップで見たければオペラグラスを使えばいいのだし。
何だか3階席のファンになっちゃいました。

Kab0215c



昼の部、まずは「爪王」から。
鷹と狐の対決と聞いて、いったいどんな風に?と想像もつきませんでした
が、
これが予想外に素晴らしかった。
鷹匠に育てられた鷹が村を荒らす狐を退治しようと挑むが逆に深手を負っ
てしまう。翌年傷も癒え大きく成長した鷹のリベンジで、とうとう狐を仕留める、という単純なストーリーですが、雪を描いたシンプルな舞台装置とあいまってちょっと民話の雰囲気も漂わせ、郷愁を含んだファンタジーの世界に引きこまれます。
勇猛な鷹かと思いきや、出てきたのは七之助演
じる目のさめるほど美しい鷹のお姫さま。(実際鷹は雌のほうが大型で獰猛らしい)
すべて踊りで表現されますが、戦いに挑む勇猛さや、鷹匠に見せる信頼や
甘えなどを目の動きであらわす、その表情が美しく、いじらしく、見ているうちに愛おしさでいっぱいに。
まるで「鷺娘」をアクティブにしたような激しさ流麗さに釘付けです。

一方の狐に勘太郎。
今までわりと真面目でリアルな役でしか見たことなかったのですが、その
イメージを見事に打ち砕いてくれました。
これまた躍動感あふれる狐で、狡猾な中にも少し悲しみを湛えたような表
情が何ともいえない風情。
ハードな踊りを難なくこなす、力強さにうっとり。
後方の迫(せり)から傷を負った鷹が落ちてゆく、はっと息を呑む場面な
ど見せ場も多く、一時も目を離せない感じでした。
大きく成長する鷹が勘太郎、七之助兄弟にそのまま重なって何だか感動・

ちょっとうるうる・・。
終わってから隣の席のおばさま方が(
アンタが人のことおばさまって言うか、笑)「勘太郎ちゃんは結婚してからいちだんとうまくなったわよ~」なんて話していました。
「爪王」は動物作家である戸川幸夫の原作と知ってビックリ。
それを歌舞伎にとは何とも斬新ですよね。



二つ目は「俊寛」
これは去年の1月、幸四郎の主演で観ていますので、
今回勘三郎が演じるとどう違うのか、それが楽しみでした。
やはりちょっとタイプが違って、幸四郎のはあくまで風格のある俊寛、その分とりすました感じが抜けない、とも言えるのに対し、
勘三郎のはより人間くさいというか、卑小さが出てよりリアルに感じられ
る俊寛といいましょうか、あくまで個人の感想ですが・・。
どちらが良いということではなく、同じ役を演じても全く違う人物像にな
るのだな、と改めて思いました。
それもまた歌舞伎を長く観ている人の楽しみなのでしょう。
なお勘太郎の丹波少将はすごく合って良かったですが、七之助の千鳥は去
年の芝雀には及ばず・・・
若い役を演じるのに若さだけではダメというのも厳しいものですが、まだ
まだこれからですよ♪

Kab0215b
そして「口上」を経て4つ目はお目当ての仁左衛門&玉三郎ゴールデンコ
ンビの「ぢいさんばあさん」
これは森鴎外の原作で、仲の良い若夫婦が皮肉な運命にもてあそばれて離
れ離れになってしまい、37年ぶりに再会する、という物語。
何しろこのおふたりの演目はただもう見ているだけで満足なのですが♪
玉さま、「口上」でちょっとひっかかて心配しましたが、若妻るんのいつ
もにも増しての美しさを見て安心しました。
1年間の任務のため、明日は夫が京に発つという日。
別れを惜しむ夫婦のほほえましいイチャイチャぶりに場内から笑い声が。
京で夫が妻から送られた我が家の桜の花びらを川に散らす場面にはじんとしました。
そして37年後、若木だった桜がいまや大きく成長して満開となっている家
での再会。
涙なくしては見られません。
仁左衛門の「ぢいさん」は本当に「高砂」の人形そのままの無邪気で慈愛に満ちた好々爺ぶり。
それに対して「ばあさん」のほうに少し硬さを感じたのはメークのせいか
なあ。
品があるのはいいのですが、もっとより優しげなメークのほうが良かったのでは?と思いました。

Kab0215e

              これは過去の公演の写真です


ともあれ小品ではありますが、これは観たら忘れられない印象深さです。
もちろん他の人が演じても胸を打つことに変わりはないのでしょうが、
やはりこのカップルを越えるバージョンは無いのでは・・と思ってしまいますねえ。




ということで、2月もめいっぱい楽しみました。
さよなら公演もあと2回。
3月も4月も三部作です。
こうなったらもう最後まで見届けるもんね。
チケット争奪戦に割りこめるか・・ってところです。

Kab0215d
三階ロビーには過去の名優たちの写真が・・・
菊之助さんは芝居に悩むとこれを見に行く・・と何かに書かれていました。

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