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2009年11月

2009年11月28日 (土)

十一月・吉例顔見世大歌舞伎


引き続き歌舞伎の話でナンですが、歌舞伎座11月公演、「仮名手本忠臣蔵
」夜の部を見て参りました。
今月は行かないつもりだったけど、新聞の評を読んだり、行った方のブロ
グを読んだりしたらもうダメ~。
前にも書いたけど、公演後半のほうが良い席が出るようで(特に一人の場
合は半端にあまった席が必ず出るようです)今回も運良く観やすい席が取れました。

Kanatehon_2
















今回は通しの忠臣蔵なので本当は昼の部から観たかったけどそうも言って
いられません。
夜の部は勘平とお軽、その家族の悲劇を描く五段目六段目、由良之助(蔵
之助)の本心か策略かのサスペンスにお軽兄妹のやりとりが絡む一力茶屋の場の七段目、
そして討ち入り、めでたく本懐を遂げて凱旋、の十一段目から成ります。


「仮名手本忠臣蔵」は忠臣蔵にまつわるさまざまなドラマの集大成。
忠臣蔵自体はもちろんドラマや映画で何度も観ていますから、というより
うんざりするほど見せられていますから(昔はこの話、古くさいと思っていて嫌いでした)別に目新しいものではないですが、忠臣蔵をベースにこれほどたくさんのエピソードを創作されていることに改めて驚きました。
47人の浪士たちには当然47のドラマがあり、膨大な人々がこれに絡むわけ
ですから、確かに題材は無尽蔵と言えるかも。

Ka091122a


















お軽勘平の名前だけは知っていたけど、こんなエピソードだったんだ・・

恋のための悲劇、身分が低いための悲劇、忠義のために盗みや殺人や家族
までを手にかけねばならない悲劇などなど、これでもかの盛りだくさんの展開に圧倒されました。
かの時代の人々の大義や信念やはたまた美意識までが、そんなものをみん
な失くした現代人に訴えかけてくるような迫力。
六段目の菊五郎、泣かされました。
しっとりとした魅力のお軽、時蔵がまた良くて。
東蔵の悲劇を演じてもどこかユーモラスな母親役、独壇場って感じ。

七段目は由良之助を演じる仁左衛門にもう釘付け。
華やかな遊里がこんなに似合う人ってないですよね。
十一段目、きりりとした討ち入りの姿も文句なく素敵だけど、茶屋で酔っ
ての乱れくずれる姿がなんとも艶っぽくて。
「吉田屋」でもそうだったし、「すし屋」「女殺油地獄」のすねた風情に
も通じるものがあります。
この場面では遊女となったお軽を福助が演じましたが、これまた華やかで
艶な姿に見惚れました。
お軽の兄、平右衛門に幸四郎、どんな時でも安心して観ていられます。
討ち入りの場面の降りしきり、舞う雪がきれいで、幕が降りてからもいつまでも目に残りま
した。
これはもう歌舞伎ならではの美しさですね。


Ka091122c

















この日はNHKが入ってましたから、近々放映されるかも♪




それにしても人形浄瑠璃として大阪で初演されてから260年、
忠臣蔵はまだまだ過去のお芝居とはなってはいないようで。
来年十数年ぶりに忠臣蔵の映画「最後の忠臣蔵」が公開されるそうです。
別々の理由で生き残った瀬尾孫左衛門と寺坂吉右衛門にスポットをあてて描かれるようですが、
何だかんだいっても本当に日本人ってこの物語が好きなんだな。


最後の忠臣蔵 [DVD]
これはNHKドラマバージョン



そういえば印象に残る忠臣蔵がひとつあります。
1979年(え!そんなに昔だっけ?)に放映されたドラマ、「女たちの忠臣蔵」
浪士たちにまつわる女たち、母親や妻や姉妹、恋人たちからみた忠臣蔵でした。
浪士となった男たちにかかわる女たちの運命も当然激変、さまざまな悲劇が生まれるわけです。
何しろ脚本が橋田壽賀子ですからまあドラマティックに見せること!
当時の女優たちの共演も話題となり、なんと42%以上の視聴率を取ったそうです。
夫のために女郎となり、討ち入り凱旋の夫の姿をひとめ見ようと廓を駆け出し、雪の中でなぶり殺しにされる波乃久里子の壮絶なラストシーンが忘れられません。

調べたらDVDになってるんだ。
TSUTAYAでレンタルしてないかしら・・?


Tyusindvd















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2009年11月17日 (火)

シネマ歌舞伎・「日高川入相花王」



さて東劇で行われていたシネマ歌舞伎の最終日、
「日高川入相花王」(ひだかがわいりあいざくら)を観てきました。
10月には行けなくて、11/13の最終上演を選んだのですが、初回上映は10時
半から。
ちょっと寝坊して少し遅れたものの(何しろ家からだと2時間近くかかりま
す)
平日だしチケットもすぐ買えるだろうと思ったら甘かった。
あと10分で始まるというのにチケット売り場は行列。
え~今までこんなことなかったのに、やはり最終日ということで観にくる
人多かったんだ。
何とか上映開始と同時にシートに座ることができました。
「鷺娘」との2本立てでしたが、「鷺娘」の素晴らしさは以前書いたので
ルーして。



「日高川入相花王」はこれまた清姫、安珍の道成寺もの。
舞台は紀伊の国の日高川。
恋しい安珍を追って日高川まで来た清姫は渡し船の船頭に川を渡してほし
いと頼むが、安珍から追ってくる娘がいたら決して渡してはならないと言われていた船頭に拒否される。
そこまで自分を拒む安珍への恨みで清姫は見るも恐ろしい蛇体と化し、
日高川に飛び込んで安珍を取り殺そうと追い続けていく、というストーリ
ー。

Hidakagawa1


















もともとは人形浄瑠璃の脚本だった、という歌舞伎の演目はたくさんあり
ますが、
このお芝居は「坂東玉三郎人形振りにて相勤め申し候」ということで、
人形浄瑠璃の舞台がそのまま再現され、玉三郎は人形となって清姫を演じ
るというめずらしい演出です。
坂東薪車演じる船頭も人形振り。
そして尾上菊之助が、清姫を操る人形遣いを演じます。
文楽ではひとつの人形を3人係りで動かすそうですが、そうした黒子とは別
の「出遣い」と呼ばれる人形遣いだそうです。
裃姿のクールな菊之助もまた素敵♪


「人形」であるから基本的には無表情。
文楽に限らず人形というものは、角度によって微妙で多彩な表情を見せるものですが、逆に人間がそれを表現するのは難しいでしょうね。
人間を模した人形を、また人間が演じるというパラドックス。
でもさすが、その微妙な表情やギクシャクとした人形の動きなどがメリハリの利いた演技で表現され、とても新鮮でした。
「人形振り」は遣うほうも遣われるほうも技術はもちろん、体力的にもハードなのだそうですが、菊之助との息の合った演技はそんなことはまったく感じさせず。
一度など菊之助が玉三郎を軽々と持ち上げましたが、バレエのリフトと同じでさぞ体力が要ることでしょう。
文楽では男の人形のほうが目とか口、眉などがよく動いて表情豊かなのだそうですが、それをユーモラスに再現した船頭が面白かったです。


川を渡れないことに絶望した清姫が蛇に変わる場面、
清姫の顔が文楽のいわゆる「がぶ」に。
美しい娘の顔が一瞬で口が耳まで裂けて歯をむき出し、、目玉がひっくりかえって爛々とした金目になり、頭には角が生える、というあの豹変を「がぶ」というそうで。
映画ではお面だったのか、ちょっとわからなかったけど、
あの「がぶ」ってほんとにドッキリしますよね。



髪振り乱して川に飛び込むと大蛇の身体がうねり、衣装は銀のウロコ模様に。
周囲を焼き尽くすような清姫の妄執、嫉妬の凄まじさ。
でもそれをあくまでも、哀しみを湛えた「美」に昇華してしまうのが玉三郎たる所以でしょうか。
向う岸に泳ぎつき、柳の木に取り付いて見得を切ると舞台はぱっと明るくなり、一面の桜の山が・・・
う~ん、これもやっぱり生の舞台でも観てみたい・・・。

Tougeki






東劇のロビーにこんな大勢の人がいるの初めて見ました。








結局まだまだ観たい作品をいっぱい残してしまったシネマ歌舞伎アンコール上演でしたが、まあまた機会はあるでしょう。
それとこれは全作品早急にDVD化して欲しいですね~。
となればもちろんブルーレイかな。
そうなったら・・・仕方ない、DVDプレイヤー買い替えますよ~dash



ところで「がぶ」で思い出したこと。
その昔NHKの「ひょっこりひょうたん島」にパトラ、ベラ、ルナという3人の魔女が出てきて、その中のルナだったかな、この「がぶ」があってすごい怖かったんです。
さっき検索してみたら、やはり子供の頃それを見てトラウマになってる、なんて記事があって笑っちゃいました。
確かに子供にはショックかも・・・。
それにしてもなつかしいなあ♪




 Various/ひょっこりひょうたん島 ヒット ソング コレクション (オリジナル版)












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2009年11月10日 (火)

銀座の日の丸


さてそのシネマ歌舞伎の帰り道。全然話が変わるのですが、
銀座4丁目方面に歩いていくと道すじに小さな国旗が並んでいる。
4丁目
交差点で左右を見ると晴海通りにも整然と日の丸が。
それを見た時、反射的に「わっ、戦時中!」と思ってしまい、我ながら驚
きました。
もちろん戦後生まれの私は戦時中なんて知らないのに、そう思ってしまう
って何だろう。
しかも私は日の丸アレルギーなどではないのに。

Ginza0911





















たとえばこれがニューヨークで、星条旗が飾ってあったら、
パリでトリコロールが同じように飾られていたとしたらどうだろう、と想
像してみたけど一向に違和感は無し。
ああ何か国民的祝日なのね、と思う程度でしょう。
それなのに自分の国の国旗を見て、戦時中、と思ってしまう感覚って・・


その光景を私が見たとしたらたくさんの映画の中。
それらの大部分は結果的に反戦映画だったでしょうから、そういうイメー
ジを繰り返し刷り込まれてきたということでしょうか。
戦後民主主義の土壌で育ち、若い時は反体制の雰囲気にあって先の大戦の
シンボルであった日の丸=悪、みたいなイメージを持たされてきたことも確かです。


もちろん本当に戦時中の経験から、今でも日の丸アレルギーだという人は
それでいいのだと思います。
辛い経験の記憶は消しようがないのだから。
でもその感覚がトラウマのように自分の中にもあったということがちょっ
とショックでした。
戦後60年以上も経っているのに、なんとかわいそうな日の丸ではありませ
んか。

Wakouhinomaru

















う~ん、このぶんではこのトラウマ、負のイメージが本当に抜けるまであと
数十年はかかるかも?
最近サッカーの応援など見ていると、日の丸を自由に使って楽しんでいる
ようだけど、そういう世代にはもうアレルギーはないと思いたい。
先入観も偏見もなく、ごく普通に自国の国旗として愛してほしいと思いま
すし、そういう時代が来るよう願いたい。
加えて国旗というものは世界のどの国でも大切にされていること、
それに敬意を払うのは「礼儀」であることを、子供のうちにきちんと教育
してほしいものです。



ところでこの銀座の国旗、文化の日はもう過ぎたし何だろう・・と思った
ら、
天皇陛下ご在位二十周年をお祝いして・・ということらしい。
祝賀の日となる12日は国旗を掲げましょうと書いてあったけど、
まあ掲げたいと思っても近所から右翼と思われるんじゃないかと二の足を踏む・・という情けない現実もあるんですよ。
それに正式なサイズの国旗ってはっきり言ってデカ過ぎるの。
今の時代に
合わないの。
前から思っているのだけど、小さな国旗を組み込んだ和風のリースを作っ
て玄関ドアに飾るとか、鉢花に国旗をアレンジするとか。
もっと自由に楽しんだらどうでしょう。
そんな風に気軽に飾るほうが、国旗に親しみを持ち、負のイメージから遠
ざけてくれることに繋がると思うんですけどね・・。




Hinomarumatuyama


















先日の文化の日、たった一軒見かけた国旗掲揚の和菓子屋さん。
なかなか良い光景ではありませんか。




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2009年11月 9日 (月)

シネマ歌舞伎・「京鹿子娘二人道成寺」


10月、11月の東劇ではシネマ歌舞伎のアンコール上演が行われています。
本当は全部観たいのですがそうもいかず、
今回は「京鹿子娘二人道成寺」を観てきました。
今年の2月に歌舞伎座で観たのですが、2階の奥の席だったので遠くて花道
も見えず欲求不満状態だったため、シネマでリベンジ。
平日の2時でしたが、そこそこお客さんが入っていました。

Sinemakabuki




















2月の欲求不満、200%解消。
あのあでやかな舞台で繰り広げられる玉三郎、菊之助の目のくらむような

息をつくひまもないような舞を堪能しました。
シネマ歌舞伎はただ舞台をそのまま撮影しただけではなく、映像ならでは
の技法、趣向が採りいれられているのですが、この演目はその技法が十二分に生かされていました。
鐘の供養のため、舞を奉納させて下さいと僧たちに語りかける白拍子、菊
之助の花子がアップになるといつのまにか玉三郎に・・カメラが引かれるとまた菊之助に・・・。
最初わからなくて、あれ?いくらなんでもこんなに似ていたかしらと思っ
てしまった。
二人の花子が分裂するようにすうっと離れたり、磁石のようにまた引き合
い、
重なったりと自在変化の趣のある舞台でしたが、それが映像の力で強
調され、まさにあやかしの世界に引きずりこまれます。

Kanoko



















遠目には双子のように見える二人も、同じ振りを踊っているばかりではあ
りません。
バレエのソロのように、一人で踊る場面も。
またその踊りの多彩なこと!
菊之助はやはり動きが若々しく、力強いスピード感があって清新な魅力に
溢れています。
でも玉三郎は、多分菊之助にはまだまだ届かない境地に到達してしまって
る。
彼自身が動く芸術品と言ったら失礼でしょうか。
動くたびに花が零れ落ちるようなあでやかさ、しなやかな身体の動きや、

時に眼だけで表現するその微妙な表情の多彩さはまるで万華鏡のよう。
こちらはまるで金縛りにあったように魅入られてしまうのです。
また二人のその違い・・・若さと円熟が補い合って、さらに大きな魅力に拡大していく感じ


何度も替えられる豪華な振袖もまばゆいばかりで究極の目の保養。
まったくこれほど美しく、素晴らしいものをいったい世界のどこで見られ
るというの!?とテンションは上がりっぱなし。
ラストに亡霊の正体を現して鐘にとりつき、ぞっとするような目で僧たち
を睨む場面のふたりのアップを見た時は、ああ観て良かった!と鳥肌がたつほど感動しちゃいました。
充実度も200%の1時間10分でした。happy01



映画が終わって出るとき、中央の席から車椅子に移される高齢の女性を見
ました。
うん、映画の大画面ならお年寄りにもよく見えることでしょうね。
彼女も充分楽しんだのなら嬉しいなあ、と何故かちょっとしんみり。

Kabukiza1106
















「櫓」の建てられた歌舞伎座。
江戸時代、幕府公認の芝居小屋として認定された証なのだそうです。
毎年11月の顔見世興行の時のみ建てられますが、
今回は来年の終了時まで見られるとのこと。

Kabukisyasin_2















歌舞伎座の写真集。
ふだん見られない歌舞伎座の奥や、
舞台装置製作などの光景が見られます。
歌舞伎座、東劇でも販売されてます。






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