十月大歌舞伎
十月の歌舞伎座は「芸術祭十月大歌舞伎」
ようやく行ってきました。
いつもネットでチケットを取るのですが、前半のほうが席が取りにくいことがわかってきました。
後半になると押さえていたチケットが色んな理由で放出されるらしく、
前半には皆無だった良席が取れる場合も。
今回は昼の部のみで席は2階の最前列ながら一番西の端。
何とか花道も見えて一安心。
昼食は買い置きのパンにハムとチーズとルッコラを挟んだだけのサンドイッチ一個を作り、缶コーヒーと持参。
もともと昼食は食べないので、一人の時はこれで充分。
演目は歌舞伎十八番の内「毛抜」(けぬき)
蜘蛛の拍子舞(くものひょうしまい)
心中天網島より「河庄」(かわしょう)
音羽嶽だんまり(おとわたけだんまり)と盛りだくさん。
さよならまで200日切りました
「毛抜」は奇抜な発想に度肝を抜かれました。
お姫様の髪の毛が逆立つという奇病や、毛抜きや小刀が勝手に踊り出す怪異の真相は、天上裏で曲者が磁石を操っていたのでした、という結末。
もう爆笑です。
弾正役の三津五郎がゆとりのある演技で貫禄がありました。
豪快でユーモラスなナイス・ガイって感じ。
接待に出た美少年のお小姓や腰元をくどいて振られ(男女どっちでもいいわけね)悪びれずに笑ってごまかすシーンなど、余裕を感じさせます。
めでたしめでたしの物語は観ているほうもスッキリ♪
今回の席より。
西の端でしたがまあまあ。
お目当て玉さまの「蜘蛛の拍子舞」
葛城山に住む女郎蜘蛛伝説をもとにした舞踊劇。
毛抜もそうなのですが、これも平安時代のお話なんですけど、
ファッションやヘアスタイルは江戸時代、というのもご愛嬌。
源頼光役の病鉢巻をした憂い顔の菊之助、
美しい白拍子に化けた蜘蛛の精の玉三郎、勇ましい渡辺綱の松録の三人の拍子舞、とてもステキでもっともっと見ていたかった・・。
正体を見破られた蜘蛛の精は千筋の糸を投げながら本性を現し、見るも凄まじく恐ろしい姿に・・
真っ赤な口をカッと開いた、あれが玉さま・・?
初めて見るそんな姿も新鮮でした
蜘蛛の糸をきれいになびかせるのはかなり難しいそうです。
オペラグラスであちらを見たりこちらを見たり、もう目がクラクラするほど見ごたえのある作品でした。
「河庄」はちょっと私には退屈だったかな・・
江戸の歌舞伎の真髄が「荒事」とすると、逆に柔らかさが上方歌舞伎、和事の特徴。
それをじっくり楽しむべきなんだろうけど、どうしても単調さに眠気を誘われてしまう。
もうちょっと動きのあるパートなら良かったかも。
「心中天網島」は昔新宿のATGで見た映画が好きでした。
中村吉右衛門と岩下志麻主演で、(監督はもちろん篠田正浩)人形浄瑠璃のイメージを取り入れた斬新な演出が素晴らしかったです。
最後の「音羽嶽だんまり」はバラエティに富んだ登場人物(侍や盗人、お姫様や白拍子など)がそれぞれパフォーマンスをする、という趣。
尾上松録の息子さん、3歳の大河ちゃんのお目見えも兼ね、華やかな舞台となりました。
ところで「蜘蛛の拍子舞」にはクモのぬいぐるみ!?が出てきてこれがまた笑えたのですが、
蜘蛛の伝説というのは日本書記の中にもあり、もともとは朝廷に従わない部族(土蜘蛛)を討伐したところからきている、ということを初めて知りました。
「土蜘蛛」と呼ばれた人々は、まあ野蛮人と見做されて滅ぼされたという事でしょう。
それが源頼光など勇ましい武将に退治される妖怪へと話が変化してきたわけです。
恐ろしい歴史を都合のいいように美化してきたってことか・・・と悲しい思いもしますが、物語のルーツにはよくあることかもしれません。
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