灯台記念日/喜びも悲しみも幾年月
今日11月1日は「灯台記念日」。
明治元年(1868年)、日本最初の洋式灯台となる、神奈川県横須賀市の観音崎灯台の起工式が行われたことを記念して、昭和24年(1949年)に海上保安庁により制定されたとのこと。
普段は立ち入れない灯台内部が特別公開されたり、各地で記念行事が行われるそうだ。
真っ青な海に白亜の灯台、って惹かれるものがありますよね。
もちろん現在の航行船にとっても重要な標識であることは変わりないけれど、
昔は灯台を守る人々は本当に大変だった・・・とすぐに思ってしまうのは、
ハイ、映画「喜びも悲しみも幾年月」を繰り返し観たせいでございます。
「喜びも悲しみも幾年月」は木下恵介監督、昭和32年公開の長編映画。
見合い結婚で結ばれた灯台職員とその妻、さらに子供たちの、昭和7年から20数年にわたる波乱に満ちた生活を明るく描く。
明るくといっても当時の灯台守の生活は苛酷だ。
北は北海道から南は九州の離島まで、日本中を数年おきの転勤。
当時は灯を入れるのもすべて手動であり、台風の時などは命がけ。
灯台は人里離れた場所にあるため、子供たちには遊び相手もいない。
加えて戦争をはさんだ激動の時代。
米軍による灯台への機銃掃射で、実際何人もの職員が殉職している。
そんな中で、灯台守の使命に燃える真面目な夫(佐田啓二)と、
明るく優しくたくましい妻(高峰秀子)とは、「生活することが仕事」という環境にあって、さまざまな苦労を共にし、時にはケンカをしながらも深い絆で結ばれてゆく。
息子の死という悲劇を乗り越え、最後は結婚して海外へ向かう愛娘の乗る船を、新婚時代に赴任した観音崎灯台から見送る場面で終わっている。
(このラストシーン、灯台と船が呼び合う霧笛の音で、いつも涙が・・)
「二十四の瞳」の高峰は泣かせたけど、この映画の彼女もほんとにいい♪
佐田啓二もこの作品が最高だと思う。
孤立した暮らしの中で、時にはストレスからイライラして衝突しても、
お互いを思いやって絆を深めてゆく夫婦の姿は尊く、その年月の重みが心に沁みいってくるようだ。
ああ、こんな夫婦になれたらな、と誰でもが思うのではないだろうか。
転勤により日本を南北東西に縦横する、各地の灯台の風景(日本全国ロケ敢行)も素晴らしい。
実はこの映画にはモデルがあり、実際に灯台守の妻であった田中きよさんという女性が、
「海を守る夫とともに二十年」という手記を昭和31年、雑誌「婦人倶楽部」に寄稿、
それを読んで感動した木下恵介監督が映画化を決めたという。
当時きよさんの夫、田中績(いさお)さんは、福島県の塩屋崎灯台の台長だった。
夫妻は映画と同様、サハリンから五島列島まで8ヵ所の灯台に赴任、10人の子供に恵まれたが、
娘さんの話によれば定年後もいつも一緒で、相次いで亡くなるまで30年間、
本当に仲が良かったそうだ。
頼りにし、いたわり合うのはお互いだけ、という環境が「灯台の夫婦には倦怠期がない」と言われる所以だろうか。
ところで私はこれを映画で観たことはなく、大人になってから初めてTVで観たのだと思う。
でも子供の頃、亡くなった父がよくこの映画の主題曲を口ずさんでいた事ははっきり覚えている。
「おいら岬の 灯台守は 妻とふたりで 沖ゆく船の・・・」
多分、いい映画だよとか聞いたと思うのだが、夫婦の愛情物語になどてんで興味のなかった当時は「ふ~ん、パパの好きそうな映画ね」と鼻で笑っていたような。
それから長い年月がたった今、この映画を何度も観かえし、観るたびに涙する私を父は笑っているだろうか。
何十年にも渡り、そんなドラマも続いてきた灯台だが
、平成18年、映画の舞台のひとつでもあった長崎県五島列島の女島(めじま)灯台の自動化を最後に、すべての灯台が無人化されたそうだ。
「灯台守」という仕事はその役目を終えた。(灯台守というのは通称で、職員は海上保安庁の所属)
先人の苦労を偲ぶ、というのはどんな仕事でも同じだけれど、
灯台記念日の今日、灯台を見かける機会があったら、ぜひそんな歴史にもちょっとだけ思いを馳せて下さい。
私もそうしたいところだけど・・・海はあまりにも遠いです。(・_・、)
« 蟻地獄 | トップページ | 三日月&宵の明星 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 南海トラフ超巨大地震?(2012.04.04)
- 「カーネーション」最終回(2012.03.31)
- 夢みるように眠りたい・サントラ盤(2007.05.06)
- ドラマ・「黒部の太陽」(2009.03.27)
- 3Dデビュー♪「ALWAYS三丁目の夕日’64」(2012.02.16)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/138320/42969504
この記事へのトラックバック一覧です: 灯台記念日/喜びも悲しみも幾年月:
« 蟻地獄 | トップページ | 三日月&宵の明星 »






コメント