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朝刊を開いて驚いた。
児童文学者の石井桃子さん死去のニュース。
去年100歳を迎えられ 今年の1月には朝日賞の授賞式にも参加されたばかりだったのに・・・
石井さんといえば児童文学の重鎮として数々の賞を受けられ、翻訳から創作までその功績は計り知れない。
長い間いかに多くの子供たちがその恩恵を受けたことか。
それにしても人が好きな仕事を極めるのに、100年でも足りないとしたらちょっと寂しい。
でも101歳、きっと安らかに旅立たれたのだろう。
驚いたというのには理由があって、ちょうど亡くなられた昨日の午後、
私は久しぶりに行った図書館で「ノンちゃん雲にのる」のDVDを見つけて
「お宝見っけ!」とばかりレンタルしてきたところだったのだ。
石井さんの著作は数多いが、この「ノンちゃん雲にのる」と「山のトムさん」が私の大好きな作品。
ノンちゃんは戦前の良き時代の家庭、子供たちのいきいきとした姿が描かれた中編童話。
主人公、小学校2年生のノンちゃんは楽しみにしていた東京行きに連れていってもらえず、わあわあ泣きながら木に登り、池に落ちてしまう。
ところが落ちたのは池でなく空で、ふわふわの雲の上。
そこに不思議なおじいさんが現れて・・・というファンタジー。
戦争末期に書かれたこの本を最後まで読めば、
静かな強い反戦のメッセージがこめられていることにも気づく。
でも何より、ごく普通の家庭がこれほどに健全であたたかいものであった時代の描写に触れ、
何だか悲しくなってしまうほどだ。
この本は昭和22年に出版され、26年には文部大臣賞を受賞。
昭和30年に映画化されたものが借りてきたDVDだ。
ノンちゃんを演じるのは当時天才少女バイオリニストと言われていた美少女、鰐淵晴子。
お母さん役にあの原節子。
もうこれほど美しい親子はないといえるそのインパクトは嫌味なほどで、(笑)
でもとても心あたたまる作品に仕上がっている。
「山のトムさん」は戦後の苦しい時代、作者が東北でにわか農家を営んでいた頃書かれた作品で、ねずみ捕りのため農家の「必需品」として迎えたトムさんという猫との交流をいきいきと描いている。
これまた今のように「室内飼い」など考えられなかっただろう時代の、愛らしくも野性的な猫の描写が素晴らしい。
翻訳書でも子供の頃からずいぶんお世話になっているはずだ。
私的には「トム・ソーヤの冒険」や「銀のスケート」などが印象深く、また息子が小さい頃愛読した絵本、、バージニア・リー・バートンの「はたらきもののじょせつしゃけいてぃ」や「ちいさいおうち」なども懐かしく、忘れ難い。
熊のプーさん、 ピーターラビット、 ブルーナのうさこちゃんの各シリーズも石井さんの仕事。
本当に数世代に渡り石井さんの翻訳本を楽しんできたわけだが、これからもずっとそれは続いていくことだろう。
石井さん、今年の美しい桜はご覧になったでしょうか。
長い間本当にありがとうございました。
心からご冥福をお祈り申し上げます。
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