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2007年11月 6日 (火)

「The Queen」



「王室」というのはやはりある種のロマンをかきたてるのだろうか
ヨーロッパに王室は数多いが やはり一番知名度が高くポピュラーなのは英国王室だろう
その君主であるエリザベス2世を描いた映画 ということに興味を持って借りてきたのが「クィーン
普通王族を描くのは歴史モノであり 現在まだ健在である女王を描くってどうなんだろうと思いながら観たのだが これが素晴らしく面白かった
ちょうど10年前の1997年 ダイアナ元皇太子妃のパリでの謎の?事故死から葬儀までの
英国王室内 エリザベス女王の苦悩と混乱の1週間をドキュメンタリータッチで描いた物語だ
女王のがわから見たダイアナの死 ともいえる

Qeen1

カリスマ的人気を集めていたダイアナの突然の死に 英国国民は深い悲しみに包まれる
しかしロイヤルファミリーはスコットランドの別荘に籠ったきり
女王からは何のコメントも発表されない
以前から女王と皇太子妃の確執について 何かと取り沙汰されていたこともあり
この女王の態度に国民はしだいに不信不満を募らせていく
それを懸念して何らかの弔意を表すべきだというブレア首相の提言があったが
女王には女王なりの考えがあった
だが国民のエスカレートする不信は怒りに変わり 女王は窮地に立たされることになる
はじめは批判的だったブレア首相はその高潔な人柄に触れて しだいに女王の立場 それゆえの苦悩を理解するようになる 
そして側近や革新派の妻の冷笑をよそに 何とかして女王を窮地から救おうと奔走するのだが・・


当時ダイアナ妃はすでに離婚して王室を離れており 公的に声明を発表する必要は無かったはず
だがダイアナの人気はあまりにも絶大で 彼女は王室の無理解の犠牲になったのだと考える人も多く
女王はその張本人として憎しみの標的にされてしまったらしい
パパラッチが事故を誘発したという批判をかわすためにマスコミが煽ったという説もある
連日一面中傷記事の新聞を読まされ 自身の信念が否定され 愛する国民にそっぽを向かれたエリザベス女王のショックはいかばかりだったか


なんて言うととても深刻な映画のようだが 実はどちらかといえば(というより無責任に言えば)とても楽しめる映画なのだ
何よりエリザベス女王を演じたヘレン・ミレン
アカデミー主演女優賞を初め 各種の賞を総なめにしたのは当然 といえる演技の素晴らしさ
もちろん実際の女王をよく知っているわけではないけれど 多分指一本の動きまで研究し尽くして完璧に演じているのだと思う
当時新任したばかりのブレア首相(マイケル・シーン)もフレッシュな魅力満載♪
ちょっと笑える首相就任の挨拶シーンから
次第に友情とでも呼びたいような温かい感情がふたりの間に流れてくる過程が面白い
窮地に立たされた女王を茶化すスタッフを一喝するシーンには 胸がスッとした

Qeen6

その他 まあ下世話な興味が満たされる ということなのだろうが 
普通なら見ることのできようはずもない王室内での日常生活が見られるのも楽しみのひとつ
エディンバラ公との会話など われわれ民間人夫婦と変わらなかったりして
皇太后の辛辣な毒舌は現女王よりさらに昔の王族を彷彿とさせ ひそかに小気味良い
綿密な取材をしたとはいえ 全部が真実ではないのだろうが・・


いかにも英国らしい 女王のオーソドックスでシックなファッション(普段着)もみどころ
上質で落ち着いた秋色のアンサンブルセーター 男性用のようなしっかりしたコート 
機能美といいたくなるブーツ
無造作に被り または肩にかける素敵なスカーフの使い方 など
もちろん男性陣の スコットランドのキルト(スカートに非ず)姿をはじめ 仕立ての良いツィードのスーツなどについ見惚れてしまう
それにしてもスコットランドの原野をひとりで四駆(レンジローバーね)を駆る女王の姿はカッコいい♪
そういえば戦時中 勤労奉仕?(あ それは日本か)で車の整備をしていたという話は聞いたことがある
シャフトを折って立ち往生した川で鹿に出会うシーンは忘れられない名シーンとなるだろう
以前から有名だった女王の愛犬 ウェルシュコーギーたちの可愛さも必見♪

Qeen2 Qeen3








映画の最後で女王は言う
「今は大げさな涙と派手なパフォーマンスの時代です そういうのが苦手なの」
「務めが第一 自分は二の次(Duty the first, Self the second)です」
これこそ全生涯を国民のために捧げた女王の信念だろう
ダイアナ元妃が結果的にその対極にある人だったとしたら やはりお互いの苦悩と確執は相当のものだったと思う
しかし王室が重要な地位にあるということは当然ノブレス・オブリージュ 国民に対する責任と義務が発生するということだ
以前インタビューを聞いた限りではダイアナ元妃はそれをまったく理解しようとせず 自分のことで精一杯という感じだった
傷ついていることを隠そうともせず(確かに皇太子の女性問題など 同情する点は多いが)
不当な扱いを受けていると自分の立場を訴え
また世間もそれを人間らしいとか言って持ち上げるという風潮
ノブリスオブリージュはエイズの子供を抱き上げ 地雷撲滅運動に力を入れれば事足りる
そういう意味で 鉄の意志で己を律し 感情を内に秘め ただ国民のために50年以上務めてきたエリザベス女王は 旧時代の価値観を守る最後の君主なのかもしれない

Qeen4 Qeen5







主演のヘレン・ミレンや監督はエリザベス女王からお茶会に招待されたそうだが
ホンモノの女王はこの映画を観てどんな感想を持たれたのか・・ちょっと聞いてみたいものだ♪


ちなみに彼女はドラマでエリザベス1世も演じている
エリザベス1世といえば1998年にケイト・ブランシェットが主演した映画
エリザベス」が記憶に新しい
あれも重厚で見ごたえのある作品だったが ヘレンのエリザベス1世はどう描かれるのだろう
今度見比べてみようと思っている♪

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