「SAYURI」
2005年の暮れ 「ALWAYS三丁目の夕日」にトチ狂って何度も映画館に足を運んでいた際 予告編をうんざりするほど繰り返し見せられた・・のが「SAYURI」
ハリウッド映画でゲイシャの物語? しかも主演やメインの配役が中国人?
冗談じゃない なに考えているんだろうね不愉快!などと思い 当然全く観る気など無し
4月にWOWOWで放映するのは知っていたけど やはりそんなもん誰が観ますか と思っていたのだけど
放映日だった昨日の朝 某新聞に紹介のコラムがあったのだが
その中に監督であるロブ・マーシャルのコメントが載っていた
引用させていただくと
「日本文化に対して敬意を払いながら 私のイメージの日本を映像にすることに腐心した
あくまで現代を生きる私の視点でとらえた過去の日本であり
私をはじめとするアメリカ人の知らない世界なのだから
ドキュメンタリーをつくる気持ちなど はなからなかった」
これ読んでなんか納得したんですよね
ああそうか そこまで居直る?のなら話は別
要するに彼の描くファンタジーということで観ればいいのだから
それなら「こんなの日本じゃない ありえない 時代考証がなってない」などといちいち腹をたてなくてもいいわけで
そう!日本人の描く「ベルサイユのばら」みたいなものじゃないですか
マンガとかタカタヅカの世界
そうであるならば 虚構の世界の中に異国の監督がどういうイメージの「ゲイシャ」あるいは日本を描くのか という視点で余裕を持って観られ けっこう面白いかもしれない・・・
ということで(前置きが長い(;^_^A )
観るつもりのなかったこの映画 コロリと気を変えて鑑賞しました
結論をいえば途中ちょっとタイクツしたけれど まあ楽しめました
ストーリーはあっけないほど単純で いってみれば純愛シンデレラストーリー
主人公は幼い頃京都の置屋に身売りされて先輩の芸者から苛められ苦労していた時 ふと出あった紳士に恋をし
彼にふさわしい芸者になるためにのしあがっていく
時代はいちおう太平洋戦争前後なのだが それは他のことと同様 あまり大きな意味は持たない
もう芸者の物語だというのに いわゆる「日本髪」が一切出てこないところで いっそきっぱりと「虚構」の世界に飛んでしまえる感じ
ありえない着物の着方も所作もアバンギャルドな「都をどり」も 監督の独自の美意識からくるイメージです と言われれば
ああそうですか と言うしかないものねえ・・
観ているうちに知らず知らずその「美の世界」にどっぷりと浸されて ツッコミを入れることなど空しくなりますよ(笑)
というか徹底して虚構だと認めれば楽しめる
確かにインパクトのある美の世界ですから
どうしても「中華」のティストが入り込んでしまうものの 鳥居に象徴される赤を効果的に使い 夜の暗さと花街のきらびやかさを対比させる陰翳の使い方などが効果的で 時に息を呑むほど美しい
日本の美に対する貪欲なまでの情熱や思い入れを感じさせ それは日本人にとっては嬉しいことでもあり やはり外部の者だからこそそこまで情熱的に描けるのかもしれない と納得させられてしまう
まあ実に思っていた通り「ベルばら」に共通するコンセプトなのかも・・
アカデミー賞では撮影 美術 衣装デザインの3部門を獲得というのも納得です
キャストのほうは・・
やはり違和感ありありだけどさゆりを演じたチャン・ツイィー(アジエンスCMのヒトね)より
わきを固める女優陣の印象が私には強かった
さゆりの敵役で先輩芸者のコン・リーの凄まじさは強烈
さゆりをバックアップする芸者豆葉を演じた女優さんはてっきり日本人だと思ったら なんとマレーシア出身のミシェル・ヨーだというのには驚いた
日本勢では置屋のおかあさんを桃井かおりが好演 工藤夕貴もさゆりの友人芸者おカボ役で健闘
さゆりの子供時代(大後寿々花)もとても良かった
それに比べて男性では渡辺謙 役所広司という大物が出ているのだが そもそも役自体にあまりインパクトがないので無難にまとめられた という感があり 印象薄し
別に渡辺謙でなくとも というような
ずっと以前 日本映画「吉原炎上」を観たのだけど あまり印象に残っていないんですよね
まあ遊郭の女性と芸者は違うのだけど 女性同士のバトルなどは共通したものがあるだろうし
見比べてみると面白いかも・・・
それにしても「SAYURI」
国外の人が見てこれが日本だと思われたらやっぱりいやだな と思う以上に 今の日本の若い人が見たら案外すんなりこれを事実と受け止めてしまうかも・・・ということのほうが「懸念」であるかもしれません (;^_^A
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