My Collection
森瑤子 一時はまってかなり読みました
初めて読んだのは雑誌「セゾン・ド・ノンノ(昔あったんです 季刊だったか
ちょっと大人向けのノンノの別冊)に掲載されていた短編小説
あまり好感はもたなかったものの強烈な印象だったことは確か
本格的に読み出したのはそれから数年経ったあとのこと
ハードカバーではなく文庫になると買って読みあさりましたね
今でも本棚の奥にずらりと並んでいるけれど 膨大な量のわりにはいつも同じような印象で「これっ!」というイチオシは無い
デビュー作「情事」もずいぶん後になってから読んだけど内容まったく覚えてない
これでもかと描かれるさまざまな恋愛模様は今までにはなかったリアルさと辛口のそれが多くて充分楽しめるのだけれど(自分が恋愛当事者の立場にいる時にはつらくて読めないくらい)私には残るものはあまり無かった
(というか結局恋愛は本なんか読むより自分でするほうが面白いに決まってるし)
それより面白かったのはエッセイだった
全部本当のことではないのだろうが 家族も含めた日常のあれこれが綴られたエッセイは彼女独特の美意識や 未だに日本にはあまり育っていないだろう国際感覚に彩られ 非常に興味深く洒落たものになっていた
何冊ものエッセイ(および数多くのメディア登場)で 実際には身を削るような思いをしていたのかもしれないが
彼女は自分自身を結果的にアピールすることで小説にもそのイメージをオーバーラップさせ 独特の森瑤子ワールドを創り出した と言えないだろうか
それだけのインパクトが彼女にはあった
素晴らしいバイタリティよね
けれどエッセイを読み込むと きっぱりした華やかなイメージとは裏腹の性格も見えてくる
何より他人に対する真摯な態度や思いやり 気遣い
それは確固たる「個」を持っているからこそ他人の「個」をも尊重できるということなのだろう
ただ「優しい」人はいてもまだまだそういう女性は少ないと思う
う~ん 男性でも同じかな・・
で 彼女の作品の中で何が一番好きかと考えてみて出てきたのがこの本「マイ コレクション」
これは覚えている方も多いと思うけれど 朝日新聞夕刊に掲載されていた「髙島屋」の広告なんですね
髙島屋で売られている特定の商品が短編小説になっている
掲載されたのは「フォション」や「ロマネコンティ」などといういかにも彼女らしい商品から 「ダルマイヤー」 「叶匠壽庵」
「春帆桜」「スチュ-ベン」etc.
さらにはエレベーターや美術回廊 特別食堂などからも洒脱にして軽妙な物語を紡ぎ出す
連載中にこれを読んだ時 これこそ森瑤子の本領発揮だ!と思ってしまった
このような洒落た短編小説 他の誰にも書けない と
あとがきに彼女自身が書いているのだけど どんな材料からも短編が書けるようになった とあった
例えば鉛筆から 眼鏡から ライター 電話 香水瓶などなど そんななんでもない材料からイメージをふくらませて小説が書ける というのだ
感心すると同時にそういう手法もありなんだ と眼が開かれる思いだった
この連載のあと(だと思ったが不確か)彼女はやはり朝日新聞に「東京発千一夜」を連載している
これもショート・ストーリーで 都会を舞台としたさまざまなエピソードの底に見え隠れするのは不条理 具現化しようとする不安
やはり現実化するちょっとした恐怖など
なんと言うか 「毒の効いた」ショート・ショートとでも言うべきか
これも短編作家(と勝手に呼ばせていただく)の面目躍如という作品で面白かったけど 毎日一小説という感じでさぞ大変だったでしょうねえ
もうひとつ好きというか 大いに役にたった本がこの「親しき仲にも冷却あり」
要するに英会話の本なのだが 会話のノウハウというよりは 日本人として品位あるコミニュケーションを心がけて欲しい という願いが込められている
この本にも彼女の上品で真摯な人となりがよく表れており 本当の「国際人」に不可欠なものとは何なのか よく理解できる
とても簡単なのだが重要なポイントが網羅されていて 海外旅行の前に一読すれば役にたつこと間違いなし
1993年7月
彼女の死は青天の霹靂だった
訃報は新聞で知ったので ただ茫然とするのみ
そんなにファンだと自覚したことは無かったのに
遠くからでも送りに行こうかと数分間考えてしまった
でもそれはやめ 代りに白い花を一抱え買ってきて活けた
何の花だったかはもう忘れた
あれからもう13年も経ってしまったのね
本屋でももうあまり彼女の本を見かけることはなくなったけれど
いろんな形でたくさんの人の心に 今も生きている女性であることは確かね
7月6日が彼女の忌日
何かすてきな「○○忌」があればよいのに とつい考えてしまいます
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