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2006年6月16日 (金)

今さら映画 σ(^^) / キルトに綴る愛

結婚と自由を両立することは可能だろうか
生涯の伴侶は本当にたったひとりなのだろうか

婚約者を愛しながらもそんな疑問にとりつかれたまま
主人公フィン(ウィノラ・ライダー)は修士論文を書き上げるべく 大叔母(アン・バンクロフト)と祖母(エレン・バースティン)の暮す田舎の家にやってくる
そこでは昔から 大叔母のメイドだった黒人のアンナをリーダーとして キルト作りが行われていた
一枚のキルトを縫うためにそこに集まる友人同士 7人の女性たち
初老の彼女たちもまた それぞれの過去を抱え 現在に悩んでいた
ある者は結婚当初からの夫の浮気に苦しみ ある者は自分の夢を捨てて入った結婚生活で夫に去られ
ある者は黒人ゆえの実らぬ恋を今でも支えとし・・
フィンの祖母は最愛の夫を病で失うという極限情況の中 姉である大叔母の夫と過ちを犯していた
決して二人を許さなかった大叔母も 今はわだかまりのあるまま妹である祖母と同居している
そしてフィンもまた婚約者を愛しながら結婚に踏み切れない
ヒッピーだった両親の離婚のせいだろうか・・・・

物語は女性たちのそれぞれの過去をオムニバス形式で追いながら
それぞれの物語がキルトに縫いこまれてゆく過程を平行して追ってゆく
その幾重にも重なったエピソードはパッチワークのひとつひとつ 
キルトに託して進行する展開が多彩で見事
ひとりひとりのエピソードはそれぞれが深刻なのだが ちょっと俯瞰して見ればどこにでも転がっている「よくある話」なのだ
だからこそいっそう身につまされる とも言える
この映画は見る年代によって受け取り方が違うだろうなと 思う
30代までは「60 70代なんて想像もつかないわ」というのが普通なのではないだろうか
その年代では「老年」は別世界のこと
だから映画の中のエピソードも おばあちゃんたちの単なる思い出話に過ぎない
けれど40を超えたあたりから それがわかってくるのだ
想像も何も なんのことはない
60になっても多分80になっても 心は何も変らない ということに突然気づいてしまう
そして女性にとって 美しかった若い時との乖離がいかに残酷か 
そしてそれを受け入れなければならない切なさも・・
映像は容赦なくそれを突きつける
見事なプロポーションですっくと立ち プールにダイブする姿のまぶしさ
絵のモデルとして画家の夫を魅了し続ける若き妻の美しい肢体
たった数十年前なのにもうその面影は無い
若いひとたちにはその切なさを実感出来ないだろう
しかし実感できないながらも 迷うフィンの心に彼女たちの話がゆっくりと沁み込んでゆく
もちろん失うもの以上に得るものも多いはずなのだが 心穏やかにそれを生かすことは難しい
いくつになっても「修行が足りない」のが普通なのかな なんて

映画では突然巻き起こる疾風がそれぞれに大いなる変換と和解をもたらすことになる
突然の疾風(竜巻にすればもっとドラマティックだったんじゃ・・?)のため完成間近だったフィンの修士論文が外に飛ばされてバラバラに
やけになるフィンを宥める祖母
風に舞う論文を拾い集めて乾かし アイロンをかけてくれたのは日頃意地悪と敬遠していた女性のひとりだった
そして他の女性たちにもこの嵐を転機に 和解と新たな希望が見えてくる・・・

この映画 殆どが女性の出演者であるのみならず
原作はもちろん 監督も脚本も女性だそうでまさに「女性の映画」
なんてことを最初に知っていたら私は見なかったかも
なんか苦手なんですよね そういうスタンスって
でも確かに若干辟易する部分はあるものの(女性の集団ってコワイんだもの)
そこはアメリカ映画
友人同士でも言うべきことはずばっと言うし べたついたところが無いのが良い
悪口は陰でではなく 堂々と本人に向かって言うのも潔い
日本ではこうはいかないだろうね
結末はというと フィンは結局婚約者への愛を再認識し(地元の青年との火遊びは無視して)結婚を決意する
祖母たちから贈られた完成したキルトにくるまったフィンの笑顔はふっきれた安堵と幸せに輝いていた・・というわけ
(それにしてもラスト カラスが運命の人に導くって・・・アメリカではカラスって不吉なイメージじゃないのかしらん)
1995年の作品だけど 80年代なら逆の結末になっていそう
結局保守への回帰・・・みたいな面も感じて興味深いです

主演のライダーは実生活でも両親がヒッピーだったとか
70年前後のヒッピー 共同生活をして妻も夫も共有し 子供も共同で育てていたなんて話を聞いたことがある
演技が高く評価されていたにもかかわらずたびたび万引きなどの事件を起こしていたようで そんな生い立ちに関係あるのかなとよけいな詮索か?その後どうなったのか気になるところ
(私としては「ナイト・プラネッツ」が最高だったなあ)
でも個人的に何よりこの映画での収穫は あのエレン・バースティン(フィンの祖母役)に再会できたこと
大好きな映画「ラスト・ショー」で 奔放で印象的な母親役を演じていた
それから24年後の彼女 ステキに年をとっていて嬉しい
願わくばまた20年後 ジェシカ・タンディみたいな名演技を見せてほしいものです

Kiruto_1 

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